日本最古のパッシブ住宅ー聴竹居―

京都駅から南に電車に20分。JR線の山崎駅にある重要文化財、藤井厚二設計の聴竹居の内覧会に参加した時の記録です。2017年5月の内覧会の時のものです。

聴竹居とは、竹中工務店の建築家藤井厚二が1918年(大正6年)から1928年(昭和3年)の10年間で建てた、5棟の自邸のひとつで、49歳で亡くなるまでの10年間を過ごした住宅です。

藤井厚二は、「我国の気候、風土、習慣に、ピッタリと適合したものでなければならない」と記していたように、気候や風土に合った住宅を研究し続けた建築家で、面白いのは自邸を通して研究していること。

生涯で5棟の自邸を設計し、建てては住んで研究改良し、向きや間取、各室の広さや配置、設備や建具を変えながら実験を繰り返しています。

聴竹居は、最後の5棟目ですから、藤井厚二の理想を形にしたものなのでしょうか。

日本最古のパッシブハウスともいわれ、自然環境の中で過ごしやすい住宅を意識し、崖下の木陰の涼風を居間に採り入れ、室内を冷やす工夫や、床下の冷気を屋根裏に導き冷やす工夫など、エアコンの無い時代に、夏をもって旨とした設計の工夫が至る所になされているそうです。

関東大震災を経験したこともあってか耐震性にも意識し、屋根を軽くしたり、家具を造り付けたりという工夫もなされているそうです。

窓を横に大きく取った縁側の景色や、その景色を眺められるように横並びにした読書室の2つの机、眺望を大切にするため、座った時に軒が隠れるようにした窓上部のすりガラス、部屋の広さによって大きさとデザインを変えた照明、遠近法で広く見えるよう造られた納戸等々、安全性や快適性だけでなく、精神上の心地よさを高めるための工夫もなされているそうです。


凹凸をつけた窓枠

その土地のあらゆる環境を無駄にせずに、効率よく身にまとう、藤井厚二の自身の経験と研究に基づいた健康住宅でした。


床下への空気の取り込み口と伊東忠太の怪獣

参考図書:聴竹居 藤井厚二の木造モダニズム建築 著:松隈章

  • 四方田裕弘
  • 1976年生まれ、東京生まれ東京育ちで2人の娘の父です。建物、特に近代建築が好きで、ちょっとした旅行でも近代建築を探し当て、見に行ってしまいます。

    【保有資格】CPM(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/管理業務主任者/相続アドバイザー