滅びゆく町角

“『町』と書くと住んでいる場所の事で、『街』と書くと出かけていく場所のような気がする”

とは渡辺武信の言ですが、最近は町角がどんどん減っているような気がします。

先日も、所用で広尾に行った時、以前よく通った裏道を通ってみましたが、まったく見る影もなく、いくら記憶を辿っても、はっきりとした場所も分からなくなってしまった始末。。。緑が少し道にかぶさる、趣のある路地でしたのに残念。。。

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広尾では、青木坂もフランス大使館の改修工事で、青木坂にかかる敷地に新築マンションが建ち、だいぶ趣が変わってしまいました。以前は、石垣の、成熟した町だけが持っている風格があったのですが。。。この時点でも、反対側は既に、かつての良さは失われていましたが、今では、石垣も撤去され、マンションの公開緑地のようなインターロッキングの歩道になっています。

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渡辺武信は『街』の良いところは、無名性の中に埋没できることとも言っています。

確かに『街』には、渋谷や原宿、表参道のような人が大勢いて、個より衆としてのイメージがあります。『街』には、衆の中にいる安心感もありますが、『町』には個を認めてくれる安心感があるように思います。

身近にあった『町』が、『街』に変化していく中で、住む人の心もどのように変わっていくのかなと考えながら、最近は『まちなか』を散歩するようになってしまいました。

こんな大谷石の塀も少なくなってきましたね。

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白金の聖心女子学院の煉瓦塀

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霞ヶ丘団地の石垣。ここもいずれはなくなってしまうでしょう。

霞ヶ丘団地石垣

「タモリのTOKYO坂道美学入門」が、かつての東京の街並みを知る、重要な史書になることもあるかもしれませんね。

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四方田裕弘
  • 四方田裕弘
  • 1976年生まれ、東京生まれ東京育ちで2人の娘の父です。建物、特に近代建築が好きで、ちょっとした旅行でも近代建築を探し当て、見に行ってしまいます。

    【保有資格】CPM(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/管理業務主任者/相続アドバイザー